今にも倒壊しそうな校舎が山の中に半分埋もれる。思い出も埋もれて思い出遺跡。
屋根の上に覆いかぶさる植物の腕。抱きしめるように。包み込むように。飲み込むように。
炊事場の熱源が外部から接続される。火の気がなくなって安心して近づく植物。
炊事場の入り口。扉は全て横開き。入る効果音は「カラリ」から「ガチャ」へと変わった。
ベル。金属の打撃音と反響で聴覚的に注意を集める装置。呼ばれない幸せと呼ばれる幸せ。
分校の正面玄関。唯一のドア。蝶番文明の幕開けとムラ社会の終焉。
コンセントとスイッチの必要数は増加していった。それに反比例して人間関係は希薄になった。
サッシ以前の木造建築には、「窓鳴り」という音響装置があった。季節を知らせた。
ストーブを使い始める時期には防火意識を高める習慣があった。燃焼管理という文化。
世界最大の資産でありながら、常に母親に騙し取られる巨大資金。それが子供銀行だ。
回路だという事実を顕在化する配線。埋め込まれた配線は回路性を隠匿する欺瞞。
飛翔昆虫捕獲装置は非電動だが回路に接続される。電球という恒星が星座の一つになる。
日光をできるだけ取り込む。エコ以前の照明事情。太陽依存建築。
垂れ下がるフックは養蚕の証。閉校後に養蚕が行われていた。蚕で懐古。
赤いチェックのカーテンやテーブルクロスは初恋の追憶。「おんないろ」概念と喪失。
「せんせいのおうち」は朽ちて埋もれていた。「みんなのへや」は残った。
便所は倒壊。「便所」は排泄専用空間から多目的空間に変貌しつつある。
密着する空間の温かさと不自由さ。人類は温かさを捨てて自由を選択していった。
暑い日にはカキ氷も作った。氷も遠くから運んだ。運んでるうちに溶けた。そんな時代。
昔の男児は必ず野球帽を被ったものだった。女児はリボンや髪止めを使った。
秋茄子は嫁に食べさせないという法律。男系社会崩壊後は嫁だけが秋茄子を食べる。
今はひょうたんが何かわからない子供の時代。忘却の秀吉。裏稲葉山の小屋。
聖者ダルマーが超わがまま植物を見下ろす宗教画。手に持つスコップで掘り返す。
「もも」はいいとして、下の「モーターボート」は「も」の代表としてはイマイチ。
なぜ普通に「たまねぎ」ではいけなかったのか。作者のこだわりが感じられる。
一転普通。しかし犬にう比べてイカの描写は細かい。やはりこだわりが感じられる。
さくらは適当だが、三輪車はサドルのサスまで描かれている。
急に写実的になる。友達百人という目標と、下方修正される人間関係。
黒板に白墨というスタイルはかろうじて残っている。石版が小さいといって先生に投げつける。
植物は今頃になって学び始める。行列を作って教室に並ぶ。長い長い授業の始まり。
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