物件名 SA分校
探索日 2008/8
廃墟開始 1974年
分類 教育施設
規模 小規模 1棟


今にも倒壊しそうな校舎が山の中に半分埋もれる。思い出も埋もれて思い出遺跡。



屋根の上に覆いかぶさる植物の腕。抱きしめるように。包み込むように。飲み込むように。



炊事場の熱源が外部から接続される。火の気がなくなって安心して近づく植物。



炊事場の入り口。扉は全て横開き。入る効果音は「カラリ」から「ガチャ」へと変わった。



ベル。金属の打撃音と反響で聴覚的に注意を集める装置。呼ばれない幸せと呼ばれる幸せ。



分校の正面玄関。唯一のドア。蝶番文明の幕開けとムラ社会の終焉。



コンセントとスイッチの必要数は増加していった。それに反比例して人間関係は希薄になった。



サッシ以前の木造建築には、「窓鳴り」という音響装置があった。季節を知らせた。



ストーブを使い始める時期には防火意識を高める習慣があった。燃焼管理という文化。



世界最大の資産でありながら、常に母親に騙し取られる巨大資金。それが子供銀行だ。



回路だという事実を顕在化する配線。埋め込まれた配線は回路性を隠匿する欺瞞。



飛翔昆虫捕獲装置は非電動だが回路に接続される。電球という恒星が星座の一つになる。



日光をできるだけ取り込む。エコ以前の照明事情。太陽依存建築。



垂れ下がるフックは養蚕の証。閉校後に養蚕が行われていた。蚕で懐古。



赤いチェックのカーテンやテーブルクロスは初恋の追憶。「おんないろ」概念と喪失。



「せんせいのおうち」は朽ちて埋もれていた。「みんなのへや」は残った。



便所は倒壊。「便所」は排泄専用空間から多目的空間に変貌しつつある。



密着する空間の温かさと不自由さ。人類は温かさを捨てて自由を選択していった。



暑い日にはカキ氷も作った。氷も遠くから運んだ。運んでるうちに溶けた。そんな時代。



昔の男児は必ず野球帽を被ったものだった。女児はリボンや髪止めを使った。



秋茄子は嫁に食べさせないという法律。男系社会崩壊後は嫁だけが秋茄子を食べる。



今はひょうたんが何かわからない子供の時代。忘却の秀吉。裏稲葉山の小屋。



聖者ダルマーが超わがまま植物を見下ろす宗教画。手に持つスコップで掘り返す。



「もも」はいいとして、下の「モーターボート」は「も」の代表としてはイマイチ。



なぜ普通に「たまねぎ」ではいけなかったのか。作者のこだわりが感じられる。



一転普通。しかし犬にう比べてイカの描写は細かい。やはりこだわりが感じられる。



さくらは適当だが、三輪車はサドルのサスまで描かれている。



急に写実的になる。友達百人という目標と、下方修正される人間関係。



黒板に白墨というスタイルはかろうじて残っている。石版が小さいといって先生に投げつける。



植物は今頃になって学び始める。行列を作って教室に並ぶ。長い長い授業の始まり。



TELコメント
川沿いの集落の閉鎖された分校です。
学校としての役目を終えた後、別用途に転用された形跡もあります。

数少なくなった純木造校舎は風雨による浸食に晒され、静かに倒壊へと時を刻んで
います。
あと何年この姿を留める事が出来るのでしょうか―。 


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